日本人が海外旅行に行った後によく言うフレーズで「やっぱ日本のサービスって最高だよね」。
これは私も完全同意だし、日本のサービスは実際世界で一番だと思います。
ただし、海外在住も5年目に入り、気が付いたことがあるんですよね。
それは、日本のサービスが良くて海外のサービスはクソっていうのは、実は勘違いなんではないか、ということ。
・・・というのも。
私自身、移住当時はずっと「ブラジルのサービスはマジで絶対に信頼してはいけない」とか思っていたんですが、年々どこに行っても値段以上のサービスを受けられるようになってきたからです。
これは私の見た目がブラジル人っぽくなったからとか(普通に日本人のままです)ポルトガル語を話せるようになってきたからとかではありません。(まだペラペラ話せません。)爆
ブラジルで良いサービスを受けるためには、明確にやるべきことが存在する。
そこで今日は、「サービスが酷い」と日本人に言われがちなブラジルで、良いサービスを受けられるためにやるべきことを記事にしようかなと思います。
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そもそも観光客は優先度が低い
まず、大前提のお話を。
ここが既に日本人には考えられない価値観だと思うのですが・・・
少なくともブラジルでは、観光客の優先度が驚くほど低いです。
でもこれって、多分ブラジルに限ったことではないと思います。
全体的に南米はもちろん、ヨーロッパにもかなりの確率でこういう価値観の国が存在します。
元々、観光客は差別される(可能な限りぼった来る)マイナスな存在なんですよね。
現地人にとって。爆
もちろん、最近話題になっていたイタリアでの悪質な詐欺とかは、あまりにも行き過ぎているので別ですが・・・
基本的に一見さんの「観光客」に良いサービスをしよう、というお店は多くありません。
日本が特別だから外国人には期待しない
ではなく。
海外はサービスが悪いのが当たり前なんだから気にしない
ではなく。
人種差別だ!!
ではなく。
そもそもウェイターにとって「観光客に良いサービスをするベネフィットが無い」のではないか。と。
現地人がやってる「良い接客を受けるための努力」とは?
私はブラジルに住み始めてからこれまで、ブラジル国内のたくさんのレストランに行きました。
そのたびに夫の言動や行動を見ていて、「ほぉ~こうやってコミュニケーションを取るのか」と感心しています。(他人事)
接客の仕方に一定のルールがあるように、「接客を受ける方法」にも一定のルールがあるんですよね。
日本は「接客をされる立場」の方に特にマナーやルールがはっきりと存在しないので、知らない人が多いだけなんだと思います。
・・・私も知りませんでしたし。
基本的にブラジルでの「接客の受け方」は夫から学びました。
現在、私が実際に素敵なレストランや行きつけにしたいお店を見つけた時に、必ず実施することは以下の項目です。
- 担当してくれた店員の名前を覚える
- 店員の連絡先(WAHTSAPP)を聞く
- 食事をするときは気前よくお金を落とす
- ウェイターには必ずチップを支払う
※ブラジルはチップ文化ではありません。でもあえて支払います。
なお、チップ文化の国(米国とか)でチップ払わなかったら即ブラックリスト行きなので注意してね。 - 最初の数カ月は最低でも週二回は通う
- ウェイターを指名する(予約時点で)
- 店員の子供や家族の誕生日の把握
- 小さなプレゼントをする
- 日本のお土産(お菓子)とかをプレゼントする
こういうことを継続的にやっていると、たとえ予約が満席でレストランの前に長蛇の列ができていたとしても、1秒たりとも待たされずに、VIP席に案内されるようになります。
※今から行ってもいい?とWhatsapp(南米ではLINEはほぼ使われていません)などで事前連絡すると確実に席が取れる。
南米(多分ラテン系はどこもそうだと思いますが・・・)海外のレストランでは、このようなウェイターやレストランの「上客」のために、常に最高の席をいくつかキープしており、一般客は通しません。
観光客には絶対に入れない席です。
よく「アジア人は景色の良い席には案内されない」などの某旅行掲示板とかよく見るのですが・・・
アジア人だから案内されないのではなく、そこは元々「上客のみに案内する席」なのだと思います。
ただ単に白人だからってVIPになれると思ったら大間違いで、顧客側が店側に対して最高の顧客になろうと努力しているから、VIPになってることがほとんどなんですよね。
私もこれはこちらに住んでから気が付きましたが、本当、現地人は素敵なお店と良い関係を構築するために、相当努力しています。
この現地人の涙ぐましい努力を、観光客は一切見てないから安易に「人種差別だ」とか言えちゃうのかなと。
彼らの努力を見ていると、
イリウダ
って思いますもん。
私も段々とブラジルの文化に慣れてきて、ようやくこのような「暗黙のルール」が理解できるようになってきました。
基本給の低いウェイターにとって、一生に一度しか来ない可能性の高い観光客と、現地に住んでいて毎週通ってくれて、毎回チップをくれる素敵な客だったら、どちらを大切にしますか?という話であって。
お金を払ってるんだからやってもらって当たり前、というのは、文字通り、日本人特有の感覚なんですよね。
特にラテン系の国には多いと思いますが・・・
お金を払った分の機能的価値は最低限返ってくるかもしれませんが(返ってこないかもしれない)、ホスピタリティーを求めるなら「自分が良客になること」は大大大大大前提です。
観光客が「上客」になること自体、そのハードルが既に!現地人より圧倒的に高い。
・・・そう。
観光客が良いサービスを受けるということ自体、海外では難しいことなのです。
観光客に良いサービスをする「メリット」がウェイター側にちゃんと伝えられなければ、接客の優先順位を下げられるのは当たり前なのだな、と。
可愛い女子になら良いサービスしてくれることもありますけどね。
ブラジルでは可愛い女子グループってだけでウェイターにとって価値があるので。
じゃあ観光客はどうすればいいのか?
しかしながら現実問題、そんな現地人がやっている努力を真似するなんて不可能ですし、サービスを受けることだけが目的の観光なんて無いと思います。
せっかく旅行でブラジルを訪れるのであれば、少しでも良い思い出を作りたいですよね。
なので、以下、観光客がブラジルのレストランで気を付けると高確率で良い接客を受けられるようになることをリストアップしました。
参考にしてください。
- 小奇麗なお店に行くならちゃんと見た目も小奇麗にしていく。
- きちんと人数分の飲み物と食事を注文する。
※良いサービスを受けたいなら「飲み物は要らない」とかダメです。 - 一期一会のウェイターにはきちんとチップを支払う。(20レアルくらいかな)
- 現地のマナーはきちんと事前に調べる!!!
- 何でもかんでも英語に頼らず、現地語でコミュニケーションを取るように頑張る。
- 店に入った瞬間にきちんと挨拶する。
- きちんと挨拶する!!!!(二度目)
※日本人、恥ずかしがっちゃってここがほっとんど出来ない、あいさつしましょう。 - 店員さんの名前をきちんと現地語で聞いて、名前で呼ぶ。
- 出来れば連絡先を聞く
※海外ではWhatsappが主流なのでダウンロードしておきましょう。中国の場合はまた別でしたよね?ちょっと覚えてないですがこういうのも事前リサーチ必須です) - 名前を覚えておいて出来る限り滞在中に複数回行く!!!!!!!!!!!!!
※GETした連絡先に予約の連絡入れてください - 担当してくれたウェイターさんを指名する
- なんなら手土産を持っていく!!!!!!!!!!
※日本の歌舞伎揚げは大体喜ばれます。
こういう現地の方へ敬意を払い、きちんとコミュニケーションを取っていくと、海外でも大切に扱われるし、時にとんでもないサービスを受けれたりします。
これは実体験ですが・・・
極端な話、エコノミークラスに座ってるのに、内緒でファーストに移動させてくれたり・・・
ビジネスから謎のアップグレードを受けたり・・・
「日本では絶対に起きないような事」が、海外では起きるのです。爆
日本は平均のサービス基準は高いものの、圧倒的に特別なサービスってなかなかない。
投資に例えるなら・・・
日本のサービスは投資信託
海外のサービスはFX
・・・とでも言いましょうか。(笑)
海外はふり幅が半端ないんですよ。
海外でのサービスの良し悪しを決めるのは、実は接客を受ける人自身だったりするんですよね。
日本でも応用可能。
日本は大抵の場合、お金を払った以上のサービスを受けられるとっても珍しい国で、観光客は大体どこでも歓迎される素晴らしい国です。
しかしながら、上記のように「接客を受けるプロ」になりきり、日本のサービスを受けるとどんなことが起きるか。
日本でのおもてなしランクが、さらに上がります。
日本人は実際、礼儀正しくて基本的に良い人が多く、割と安易に
「この人いい人だし、もうちょっと頑張っちゃおうかな・・・?」
と思ってくれるんですよね。
この日本人気質は、本当に誇りに思ってよい点だと思います。
海外のような、え??マジでこれありなの??っていうアップグレードは少ないにせよ、確実に接客レベルは上がりますよ。
これは私も前職では「接客」をしていたのでよくわかりますが、結局、相手も同じ「人間」なんですよね。
人を相手にしている以上、やはり接客には「受け方のマナー」があるのです。
世の中には、接客のプロがいるように、接客を受けるプロがいる。
世界には、日本のようなおもてなしを出来る人ってそこまで多くないけど、日本人よりも接客を受けるのが上手な人はたっっくさんいます。
「日本の接客レベルは素晴らしい!」
これは確かにそうなのですが・・・
言ってしまえば、日本の「顧客」は全体的に「やってもらって当たり前、受け身で神経質」の裏返し。
デフォルトで求められるサービスが既に高く、相手が理不尽でも良い接客をせざるを得ない。
こういう場合も往々にしてあるのではないかと。
・・・だからこれからは、「日本人は接客を受ける姿勢も世界一!!!」と誇れるようになると、もう少し住みやすくなるのかもしれないな~と。
そんなことを、ブラジルという極端な国に住んで感じるようになりました。
おしまい。