週末、娘のお友達の誕生日会に参加した時のこと。
お友達は大のディズニーファンで、誕生日会のテーマが「アナと雪の女王」だった。
そこで「レリゴ~」で有名なテーマソングを聞いた娘は、なにやらその曲が大変気に入ったようで、家に帰るなり「FROZEN(アナ雪)」を観たいと言い始めた。
・・・実は私は、この日まであれほどまでに話題になっていたアナ雪を観たことが無かった。
自身がディズニーのプリンセスものがあまり好きではなかったこともあるが、あまりにも世間で話題になっていたことから、逆に見る気が失せた、というのが正しいだろう。
でも、娘が自ら「これが観たい」ということはなかなか無かったため、家族で一緒に鑑賞することにしたのだ。
そして不覚にも、感動して大号泣してしまった。(笑)
ずいぶん話題になりつくした映画でもあるので、きっと私の感想は既出だとは思う。
ただし、考えを文字にしないままにしておくと気持ち悪いため、どこに感動したのかをここに書いておこうと思う。
ガールズパワー
この映画を観終わった時、最初に思いついたキーワードはこれだった。
ガールズパワー。
私は世間で言われていた「姉妹愛」自体にはさほど重要な意味を感じなかった。
それよりも「王子に助けられなくても幸せになれるプリンセスたち」という「ガールズパワー」こそが、一番強いメッセージだったような気がしたのだ。
ディズニーのプリンセスものと言ったら「Once upon a time」で始まり「Happily ever after」で終わるのがお馴染みである。
もっと具体的に書くと、美しいプリンセスが美しい王子様に出会い、恋に落ちて、迎える危機で王子に助けられ、最後はめでたく結ばれて幸せに暮らす。
・・・こんな感じ。
しかしながら、アナ雪ではこの「テンプレート構成」が見事に破壊されていた。
主要男性陣(プリンス・ヒーロー)が、ここまで役に立っていない映画が、ディズニー史上存在しただろうか。
アナと運命の恋の相手と思われたハンス王子は悪いイケメン(敵)だったし、アナを救おうと必死に頑張ったクリストフ氏に関しては、アナが助けられる前にエルサを庇う選択を自らしたため、結局、何もしていない。
特殊な力を持ったエルサが、コントロール不可能な自分の力で、愛する妹の命を危険に晒し、さらには奪ってしまった。
しかしながら、その本物の「姉妹愛」によってアナが生き返る。
「真実の愛(姉妹愛)」を認識したところで、エルサが自分の力を自在にコントロールできるようになる。
つまり、今まではずっと「王子」に助けられ・守られる立場だった「プリンセス」が、自分達の問題を自分達(姉妹だけで)乗り越え、解決した話。
・・・ともいえるだろう。
その結果「愛は男女のロマンスだけのものではない」という多様性の部分も伝わったのではないか、とさえ思う。(もちろん計算しつくされているのだろうけど)
自分を開放していくエルサの見せ場は圧巻
他者と違う特別な能力を持つエルサは、今までずっと「誰にも知られてはいけない」「誰にも見せてはいけない」「ずっと良い子でいなさい」と言われ、その力を閉じ込め続けていた。
自分を抑え続けていたエルサがついに村を出ていき、雪山の中で自らの力を開放していくシーン。
あの有名な「レリゴ~」のシーンである。
・・・ここは確かに、圧巻だった。
私が大号泣したのもこのシーン。
見事に制作側の狙い通りの反応をしただろう。(笑)
その映像美にももちろん感動したが、それよりも、自分の持って生まれたものをようやく解放して自由になれたエルサを見て、単純に「良かったね~~~~~~涙」
・・・となったのである。
映像美・抑え込まれた主人公の心の開放、そして「Let it go」というキャッチーな曲が非常にマッチしていた。
これは確かに有名になるよね。
本当に素晴らしいシーンだったもん。
ちなみに3歳の娘にもこのシーンは感動するらしく、10回くらい連続再生する羽目になった。
エルサの力が肯定され活用された
私がこの映画の中で一番嬉しかったのが「エルサの力が肯定された」ことだった。
通常「悪」と言われる力は、「消滅する」か「使えなくなる」「倒される」で物語はハッピーエンドに向かっていく。
しかしながらアナ雪では、このテンプレートも正面から壊された。
「悪」「モンスター」と言われたエルサの「力」は、そのまま肯定されて、そのまま女王になって、そのまま村で活用されるようになったのだ。
他者とは違うから。
特殊だから。
だからずっと抑え込んでいた自分の力。
それが「悪ではない」と、他人に認められた。
これが本当に、この映画を素晴らしいものにしていた点の一つだと思う。
ディズニーが公開したことに意味がある
今、このような考え方は全世界で叫ばれているし、日本でも「多様性」や「ガールズパワー」については注目されるようになってきている。
でもこの映画をここまで特別にしたのは、あの「テンプレートなプリンセスものを手掛けてきたディズニー」が率先して公開した、という点だと思う。
あのディズニーが「王子が必要ないプリンセス物語」を描いた。
これだけでも大きなことだし、これほどまでにメッセージ性の強い映画が、全世界で大ヒットしたのだ。
娘が生きていく未来は、私が思っているよりも明るいのかもしれない。
そんなことを思った週末だった。
今年の11月にはFrozen2の公開も決まっている。
どうやら海外では、エルサにガールフレンドを!という声が集まってるようだ。制作側がどういう選択をするのか、見ものでもある。
ブラジルでは2020年の1月公開のようなので、来年は娘を連れて家族で映画館に行こうかな